文士と税金
税理士・須田勝
平成30年(2018年) 48件の記事
平成30年12月24日号(7面)
志賀直哉を師と仰ぐ作家の阿川弘之が『小僧の神様・城の崎にて』(新潮文庫)の解説「志賀直哉の生活と芸術」で、直哉の卓越し…
平成30年12月17日号(7面)
文士・作家というと、運動神経や財産などとは無縁なイメージがある。だが、志賀直哉が学習院中等科の頃の写真を見ると、ボート…
平成30年12月10日号(7面)
中学生時代の寺山修司の第一印象は、背が高く、目が鋭く、一見気障で、少し不良じみて虚勢を張って肩を怒らしている感じだった…
平成30年12月3日号(11面)
笹沢佐保の代表作『木枯し紋次郎』は、"股旅もの"と呼ばれる。渡世人の世界に足を踏み入れた男たちが主人公だ。 このジャン…
平成30年11月26日号(7面)
大阪府東大阪に「司馬遼太郎記念館」がある。高さ11メートルという3層吹き抜け空間に、大書架が広がっている。自宅にある6…
平成30年11月19日号(7面)
毎年5月中旬には、新選組の局長近藤勇、副長土方歳三らの故郷である東京都日野市で「ひの新選組まつり」が開催される。新選組…
平成30年11月12日号(7面)
吉行淳之介は、昭和29年『驟雨』で芥川賞を受賞。吉行と同時代に文壇にデビューした下の写真の遠藤周作、近藤啓太郎、庄野潤…
平成30年11月5日号(7面)
大正13年、横光利一は川端康成らとともに「文芸時代」を創刊し、『頭ならびに腹』を発表する。 「真昼である。特別急行列車…
平成30年10月22日号(7面)
永井荷風には、『濹東綺譚』などの小説の代表作に加え、『断腸亭日乗』という傑作がある。断腸亭とは荷風の別号、日乗とは日記…
平成30年10月15日号(11面)
"オダサク"こと織田作之助の生誕の地に近い大阪の法善寺。飲食店が軒を連ねる細い横丁を進むと、苔におおわれた水掛不動尊が…
平成30年10月8日号(7面)
推理小説の名探偵というと、江戸川乱歩の明智小五郎、コナンドイルのホームズ、アガサ・クリスティーのポアロやエラリー・クィ…
平成30年10月1日号(7面)
海音寺潮五郎は、鹿児島生まれで薩摩隼人的な気風溢れる作家だ。ある随筆では、現在の世相を直言し、「今日の日本には憂うべき…
平成30年9月24日号(7面)
新田次郎は、昼は中央気象台(現・気象庁)に勤め、夜は週刊誌の懸賞小説で荒稼ぎをしていた時期がある。 人の目は厳しい。マ…
平成30年9月17日号(7面)
武者小路実篤は、華族の家に生まれ、学習院時代にトルストイに心酔。東大中退後、明治43年、有島武郎、志賀直哉、里見弴らと…
平成30年9月10日号(7面)
明治44年、内田百閒は病気で静養中の夏目漱石を訪ね、寺田寅彦や鈴木三重吉らが通う「漱石山房」の門人となる。 百閒は、「…
平成30年9月3日号(11面)
向田邦子は映画雑誌編集者として勤めたのち、脚本家としてスタートする。『だいこんの花』『時間ですよ』『寺内貫太郎一家』『…
平成30年8月27日号(7面)
石川啄木は、盛岡中学の頃、友を侮り先生も恐れずに教室の窓から脱走し、授業をさぼっては不来方城とも呼ばれる盛岡城の二の丸…
平成30年8月20日号(7面)
つかこうへいの芝居や映画に数多く出演した俳優の風間杜夫は、つかの芝居に出ると必ず3~5キロ痩せた。稽古場のつかには鬼気…
平成30年8月6日号(7面)
大岡昇平は、小林秀雄からフランス語の個人教授を受けた。その紹介で中原中也と知己となる。京都帝大文学部を出て、スタンダー…
平成30年7月30日号(7面)
読めるが書けない漢字に、「檸檬」と「憂鬱」がある。梶井基次郎の短篇小説『檸檬』には、二つとも重要なモチーフとして使われ…
平成30年7月23日号(7面)
大佛次郎は、明治30年に横浜に生まれる。生地に近い港の見える丘公園には「大佛次郎記念館」があり、訪れたことがある。 大…
平成30年7月16日号(11面)
野村胡堂は、盛岡中学校(現・盛岡第一高校)に入学。同窓生には言語学者の金田一京助がいた。野村の『胡堂百話』によると、下…
平成30年7月9日号(7面)
画家の木田金次郎を主人公とした有島武郎の代表作『生まれ出づる悩み』の舞台は北海道だ。「午後になったと思うと間もなく、ど…
平成30年7月2日号(11面)
文学の分類において、しばしば純文学に対して大衆文学といわれることがある。さらには、通俗小説という分類もある。 菊池寛は…
平成30年6月25日号(7面)
菊池寛は、『父帰る』『藤十郎の恋』などの戯曲、『真珠夫人』などの小説を残した人気作家。加えて、文藝春秋社の創業者、「芥…
平成30年6月18日号(11面)
徳冨蘆花の『不如帰』は、兄である徳冨蘇峰が主宰する国民新聞に明治31年から連載された。黒田清輝による岩波文庫の口絵には…
平成30年6月11日号(7面)
高見順は、昭和16年1月から日記を綴り、「高見順日記」といわれる。特に、昭和20、21年をまとめた『敗戦日記』『終戦日…
平成30年6月4日号(7面)
有吉佐和子は、『出雲の阿国』『恍惚の人』『複合汚染』など多くののベストセラーを出し続けた作家だ。加えて、自作を戯曲にし…
平成30年5月28日号(7面)
正宗白鳥は、読売新聞記者として文化面を担当するとともに、自然主義作家の第一線に立つ。後年は文芸時評で知られ、評論『自然…
平成30年5月21日号(7面)
田山花袋といえば、代表作『蒲団』『田舎教師』により日本の自然主義文学を代表する作家だ。一方、無類の旅行好きで、紀行文作…
平成30年5月14日号(7面)
「ひょっこりひょうたん島」(昭和39年)で子ども達を熱狂させた井上ひさしは、『手鎖心中』(昭和47年)で直木賞を受賞す…
平成30年5月7日号(7面)
大阪府堺市の「与謝野晶子記念館」を訪ねたことがある。晶子の生家である老舗和菓子屋「駿河屋」の店先を実物大で再現している…
平成30年4月23日号(7面)
泉鏡花は"怪談"が大好きで、多くの作品に幽霊や魔物などが登場し、何やら生温かく黴臭い。一方で鏡花自身は極度の黴菌恐怖症…
平成30年4月16日号(7面)
泉鏡花は、美と幻影の魔術師と呼ばれ、『高野聖』『夜叉ケ池』などで近代文学史上に比類のない浪漫的世界を築いた。夏目漱石か…
平成30年4月9日号(7面)
遠藤周作は、代表作である『沈黙』『侍』などで、日本人とキリスト教の問題を追及した作家だ。昨年、映画化され話題となった『…
平成30年4月2日号(7面)
坂口安吾といえば、すぐに一枚の写真が思い浮かぶ。万年床に机のまわりは紙屑クズだらけという書斎での執筆姿だ。写真家の林忠…
平成30年3月26日号(7面)
泉鏡花、徳田秋聲と並び"金沢三文豪"と称される室生犀星。犀星の生家跡に「室生犀星記念館」がある。市の中心部を流れる犀川…
平成30年3月19日号(7面)
斎藤茂吉は、東京帝国大学医科大学を卒業し、後に青山脳病院の院長となる。精神科医として多忙を極めるが、その一方で、歌人と…
平成30年3月12日号(7面)
明治27年、国木田独歩は、学生時代に知り合ったジャーナリストの徳富蘇峰が発行する「国民新聞」で日清戦争の従軍記者となる…
平成30年3月5日号(7面)
昨年の夏、久方ぶりに小樽を訪ねた。地獄坂と呼ばれる急な坂を上り小林多喜二が学んだ小樽高商(現・小樽商科大学)、勤務した…
平成30年2月26日号(7面)
『眠狂四郎』シリーズなどで、剣豪作家として著名な柴田錬三郎。一方で男性週刊誌に連載された「円月説法・柴錬のダンディズム…
平成30年2月19日号(7面)
「木曽路はすべて山の中である」で始まる島崎藤村の代表作『夜明け前』。昭和18年に藤村は亡くなるが、生家の馬籠本陣跡に藤…
平成30年2月12日号(7面)
安政6年、福澤諭吉は横浜に遊学の際に大阪の適塾で必死に学んだ蘭学の無力を痛感し、英学に転向する。英語を習得した諭吉は、…
平成30年2月5日号(7面)
藤沢周平は、司馬遼太郎、池波正太郎との三人で、「一平二太郎」と呼ばれる。それぞれに代表作と人気シリーズがあり、時代小説…
平成30年1月29日号(11面)
『甘味辛味業界紙時代の藤沢周平』という本がある。藤沢は、作家となる前いくつかの業界紙に勤めている。中でも加工食品系の週…
平成30年1月22日号(7面)
東京都新宿区に「林芙美子記念館」がある。建物は昭和16年から昭和26年に生涯を閉じるまで住んでいた家だ。林は、「東西南…
平成30年1月15日号(7面)
明治20年代半ばから30年代の文壇は、尾崎紅葉と幸田露伴の二人の人気作家で「紅露時代」と呼ばれている。『金色夜叉』など…
平成30年1月8日号(11面)
毎年1月17日には、熱海で尾崎紅葉を偲び「紅葉祭」が開催されている。紅葉は、明治期最大のベストセラー『金色夜叉』(明治…