書評/Q&A 成年後見・信託・遺言の実務(池畑 芳子 著)
2023年01月30日 税のしるべ 無料公開コンテンツ
評者・川田剛(税理士法人川田事務所 代表社員 税理士)
令和5年度税制改正大綱でも強調されているように、世代間・世代内の公平の実現が求められるようになってきている。本格的な少子高齢化時代を迎え、相続税・贈与税は多くの人達にとってより身近な問題となってきつつある。
このような状況の下、「成年後見・信託・遺言の実務」と題する書籍がこのほど出版された。
著者の池畑芳子先生は、女性税理士の先駆け的存在で、評者もメンバーとなっているビジネス会計人クラブの理事を務めておられるほか、東京税理士会の成年後見支援センター相談委員、東京家庭裁判所で任意後見監督人として活躍されるなど、この分野の第一人者として著名な先生である。
本書は全体で132ページというコンパクトな構成ながら、Q&A型式で各分野ごとに分かりやすい解説がなされている。
第1章は総論で、人生100年時代において、どのような準備が必要かについて、おひとりさまの生前準備や、生前準備をしなかったらどうなるかも含めたところで、分かりやすい解説がなされている。第2章では、判断が低下した場合に必要となってくる財産管理について、法定後見の申立方法、それに必要なコストについて著者の経験を交えて具体的、かつ、分かりやすい説明がなされている。第3章は遺言書で、実務上必要な自筆遺言書作成や、取扱いでの要注意事項等を中心に述べられている。第4章は任意後見制度であるが、ここでも著者の経験を交え、分かりやすい形でアドバイスがなされている。
第5章民事信託では、信託契約について、その活用方法等を含めたところで解説がなされている。第6章の相続税対策では、長年にわたる著者の経験がコンパクトな形で説明されている。第7章「円満かつ円滑な相続を目指して」は、まとめ的な部分で、相続が争続とならないためのアドバイスとともに、それでも相続人間で紛争が生じたらどうすべきかについて、長年このような分野に親身になって相談に応じてきた著者ならではの豊富な経験を踏まえたアドバイスがなされている。
このように、本書は読みやすく、かつ、ボリューム的にも手ごろな書籍なので、税理士、弁護士、司法書士、ファイナンシャル・アドバイザーなどの専門家のみならず、近い将来、相続を控えておられる方、現在はそうなっていないが、今から備えておきたい方、さらにはこの分野に興味をもっておられる一般の方にも手軽に読んでいただける好書である。
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