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過去の連載「給与支払者が知っておくべき定額減税の実務」編集部編

第3回/月次減税事務における控除対象者の確認、所得制限は考慮せず

2024年04月15日 税のしるべ 無料公開コンテンツ

 今回からは、給与等の源泉徴収事務の際の定額減税のしかたについて説明していきます。

 給与所得者に対する所得税の定額減税は、令和6年6月1日時点で給与の支払者のもとで勤務している人のうち、給与等の源泉徴収で源泉徴収税額表の甲欄が適用される居住者の人(その給与の支払者に「令和6年分給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出している居住者の人)を対象に、その給与の支払者のもとで、その給与等を支払う際に源泉徴収税額から定額減税額を控除する方法で行います。こうした要件を満たす人を基準日在職者といいます。

 給与の支払者は、6月1日以後に支払う給与等に対する源泉徴収税額から定額減税額を控除する事務(=月次減税事務)と、年末調整の際に年調時点の定額減税額に基づき精算を行う事務(=年調減税事務)の二つの事務を行わなければなりません。

 このうち、月次減税事務は①控除対象者の確認(把握)、②各人別控除事績簿の作成、③月次減税額の計算、④給与等支払時の控除、⑤控除後の事務――の手順で行います。

 月次減税事務の実施に当たり、最初に行う作業が控除対象者の確認です。

 所得税の定額減税は、納税者本人分3万円に加えて、その同一生計配偶者または扶養親族の分についても、1人につき3万円を納税者の6年分の所得税額から控除します。

 給与支払者は、納税者本人がまず基準日在職者であるかどうかを確認します。合計所得金額が1805万円を超えることが見込まれる人でも、月次減税の時点では合計所得金額を勘案しないので、基準日在職者に該当しさえすれば月次減税の対象となります。

 他方、例えば、6月2日以後に就職した人は、基準日在職者に該当せず、扶養控除等申告書を提出しても月次減税を受けることはできません。所得制限にかからなければ年末調整時に減税を受けることになります。

 他の給与の支払者のもとで基準日在職者であった人が、再就職先で主たる給与の支給を受ける場合も月次減税は行わず、年末調整時の対応となります。

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