今回からは年末調整の際、年末調整時点の定額減税額に基づき、年間の所得税額との精算を行う年調減税事務について説明します。
年調減税事務は、(1)対象者の確認、(2)年調減税額の計算、(3)年調減税額の控除――の手順で行い、その後に(4)年末調整済みの源泉徴収票を作成・交付します。
原則として年末調整の対象となる人が、年調減税事務の対象者となります。月次減税の対象となった人でも令和6年中の主たる給与の収入金額が2000万円を超える人は、年末調整の対象とはならないので、減税額の精算を確定申告で行います。また、年末調整の対象となる人でも給与所得以外の所得(不動産所得など)を含めた合計所得金額が1805万円を超えると見込まれる人は、定額減税に設けられた所得制限により年調減税の対象とはならないので、年調減税額を控除しないで年末調整を行うこととなります。
これらを踏まえた上で、対象者ごとの年調減税額の計算に当たっては「扶養控除等申告書」「配偶者控除等申告書」等により、改めて年末調整を行うときの現況で同一生計配偶者の有無や扶養親族(いずれも居住者に限る)の人数を確認し、納税者本人分3万円と、同一生計配偶者または扶養親族分1人につき3万円との合計額を求めます。配偶者控除等申告書を提出することができない6年中の合計所得金額の見積額が1000万円超の給与所得者の同一生計配偶者を年調減税額の計算に含める場合は、「年末調整に係る定額減税のための申告書」の提出を年末調整時までに求めます。
月次減税前に扶養控除等申告書に記載のない15歳以下の扶養親族として「源泉徴収に係る定額減税のための申告書」の提出を受けた場合は、年末調整の際に扶養親族について記載した扶養控除等申告書または年末調整に係る申告書の提出を受ける必要があります。なお、月次減税前に扶養控除等申告書(住民税に関する事項を含む)に記載されていた扶養親族(15歳以下も含む)は、異動がない限り、年末調整の際に新たに申告書の提出を受ける必要はありません。
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