定額減税は収入が低く、もともと課される税額が少ない場合や住宅借入金等特別控除を適用した結果、課される税額が減税額に達しない場合など減税をしきれないケースで、減税を補足する給付が行われます。この給付は「調整給付」と呼ばれています。少なくとも令和6年分の所得税か6年度の個人住民税所得割のどちらかが課されている者が対象となり得る者です。住民税所得割が課されていない世帯等には、別の給付が措置されています。
調整給付は、個人住民税を課税する自治体が給付主体となります。納税者本人と配偶者を含めた扶養親族(国外居住者を除く)の人数に基づき算定される定額減税可能額が、6年に入手可能な課税情報をもとに把握された納税者の6年分推計所得税額または6年度分個人住民税所得割額を上回る者に対し、その上回る額の合算額を基礎として1万円単位で切り上げて算定した額を支給します。6年分推計所得税額には5年分所得税額を用い、調整給付を担う自治体が5年分所得税額を把握できない場合は、国が示す「推計所得税額等算定ツール」等を用いて推計します。
その上で、対象者にはまず、自治体から給付の「確認書」が届き、これに必要事項の記入等をして返信することで給付金が振り込まれます。
支給開始時期は自治体によって異なりますが、国は今夏以降が目途としています。ホームページで支給開始時期を示している自治体もありますので、気になる方はご自身の住む自治体のHP等で調べてみてください。
調整給付は算定に6年分推計所得税額を活用するなど実額による算定ではないことを踏まえ、6年分所得税と定額減税の実績等の確定後、不足が生じる場合には、不足分の給付を行うことが検討されています。不足分の追加給付は6年分所得税額の確定申告後に行うことが想定されています。他方、6年分所得税や定額減税の実績等が判明した際に、給付を過大に行っていたことが判明する可能性もあります。こうした場合、国は自治体に返還を求める必要はないと説明しています。 (おわり)
関連記事
- 令和7年03月31日控除対象配偶者以外の同一生計配偶者がいる場合の個人住民税の定額減税は7年度に実施、対象者は約100万人
- 令和7年03月28日定額減税の対象外となる事業専従者等への不足額給付は申請が必要、必要書類や受付開始時期などは自治体によって異なる
- 令和7年02月17日公的年金所得者向け簡易申告要否判定ツールを公表、一部に対応していない控除や状況も
- 令和7年01月13日定額減税により確定申告の手続を必要とするか否かの判定フローチャートなど公表
- 令和6年09月30日年末調整のしかたや様式を公表、6年分は年調減税事務が必要に
- 令和6年09月30日定額減税Q&A(概要・源泉所得税関係)を改訂、7問を修正
- 令和6年09月16日定額減税Q&Aの予定納税・確定申告関係を改訂、青色事業専従者等に関する内容で1問を追加
- 令和6年08月26日定額減税のQ&Aを改訂、年調減税の際に使う申告書様式の掲載時期などを追記
- 令和6年07月22日定額減税で「事務負担が増えた」が9割、全法連がアンケート結果を公表
- 令和6年06月24日第12回(最終回)/調整給付の支給開始時期は自治体により異なる
- 令和6年06月21日予定納税対象者の定額減税、本人分は納税額の通知で適用済み、扶養親族分などは減額申請手続で反映可
- 令和6年06月17日第11回/年調減税時の留意点など、一部配偶者分の住民税からの減税は7年度となり対象者は100万人
- 令和6年06月10日第10回/年調減税額の控除、源泉徴収票への表示のしかた
- 令和6年06月10日定額減税コールセンターにフリーダイヤルを導入、開設期間も8月末まで延長
- 令和6年06月03日第9回/年調減税事務、対象者の確認や年調減税額の計算
- 令和6年05月27日第8回/個人住民税からの減税は減税額を計算する必要なし、特別徴収税額通知どおりに徴収
- 令和6年05月24日6月から定額減税がスタート、給与に反映させない場合に税法上の罰則なしも労基法上の罰則適用の可能性
- 令和6年05月20日第7回/控除後の事務その他、給与支払明細書に控除した金額を表示
- 令和6年05月13日第6回/給与等支払時の月次減税額の控除
- 令和6年05月13日定額減税で新たなQ&A、予定納税・確定申告関係で計13問

