タックス・アムネスティ~租税特赦
山吹 涼
国税局特別国税調査官(通称、「特官」)率いる精鋭部隊が、グローバルに事業を展開する商社を相手に税務調査を実施し、国際的租税回避を突き止めていく連載小説です。(この連載はフィクションです。実在の会社・人物等とは一切関係ありません)
令和4年(2022年) 24件の記事
令和4年6月27日号(7面)
タブレットでトムからのEメールを読むローエン議長の手が震え出した。 この数年、ルクセンブルクの税制改正は、今のシリー長…
令和4年6月20日号(11面)
「じゃあ尋ねるが、信託財産に関する税制改正案は、国会を通過したのかね」 ローエンがキャロルに憮然と問うた。 「コロナ感…
令和4年6月13日号(7面)
暮れゆく湖にさざ波が立ち始めた。 「犯人は、レミ湖で子猫を殺し、私の家に置き、脅そうとした。もうこれ以上、報道するなと…
令和4年6月6日号(7面)
ドイツ、フランス、ルクセンブルクの3国に跨る形で、レミ湖はある。 「金髪の美女からのデートのお誘いで、楽しみにして来て…
令和4年5月30日号(7面)
第六章エピローグ すべては瓦解し、努力は水泡に帰した。そして己は犯罪者となったのだ。 拘置所から大阪地検の建物へ護送さ…
令和4年5月23日号(7面)
帰属という言葉が、成山の頭の中で何度も巡り、揺れる新幹線の車両で砂を噛むような思いが込み上げてきた。 ライオンマンこと…
令和4年5月16日号(7面)
インドに居るはずのヤコブが、 「すべて話しました、次長」と告げた。 たちまち真っ赤になったアダムスが、 「お前は、バカ…
令和4年5月2日号(7面)
「君は、自分が無実だと、本当に、そう言えるんだな?」シリーは質した。 「もちろんですとも」 アダムスは虚勢を張って見せ…
令和4年4月25日号(7面)
気持ちのよい朝を久しぶりに迎えることができた。ブライアン・アダムスは、執務室の自分のデスクの椅子の背にもたれ、しみじみ…
令和4年4月18日号(7面)
「守山先生、失礼いたします」 赤坂の議員宿舎を突然訪れたのは、東京地検特捜部の高階一検事だった。部下を連れず、ただ1人…
令和4年4月11日号(7面)
“たった今、万福鉄道株式会社の本社社屋に、大阪地検特捜部の捜査官が大勢入っていきます!” “逮捕された容疑者の1人、梶…
令和4年4月4日号(7面)
さて、読者諸氏の中には、三島が東京国税局に出向き夫人に託したスマホから、沖田と村上にどんな内容のメールを送ったのか、気…
令和4年3月28日号(7面)
「鉄道の梶川茂社長こそが、今回の不正資金捻出の首謀者です」三島は言う。 「そして、鉄道・商事から弊社への送金額、中国の…
令和4年3月21日号(7面)
「いやいや、ひどい降りだね」 三島の会社を訪ねた翌朝、成山は大阪に戻る前に東京国税局に立ち寄った。成山の姿を事務室で認…
令和4年3月14日号(7面)
「魚屋さんが、そんなに中国の取引を疑っておいでなら、中国に行って調査をされてはどうですか?」 「残念ながら、権限がなく…
令和4年3月7日号(7面)
魚屋と成山は検討の末、JUNに再度、反面調査をかけることにした。メンバーは、東京局から魚屋と高見、大阪局から成山と鈴木…
令和4年2月28日号(7面)
万福商事・海外第二事業部長の村上隆平は、人事部長との面談を終え部屋を出た。滾る怒りに全身の血がみるみる頭に上って来るの…
令和4年2月21日号(7面)
「さあ、君、手にしているそのファイルを私に見せてください」成山は経理部の職員に手を差し出して要求した。 「あ、あの、こ…
令和4年2月14日号(7面)
大阪国税局調査部の特別国税調査官(通称、特官)として赴任した成山が最初に行ったことは、K・WADAを特定することだった…
令和4年2月7日号(11面)
「じゃあ、わしはこれで」 経済産業省大臣・勝豊が立ち上がると同時に、万福鉄道代表取締役社長の梶川茂と海外事業担当常務取…
令和4年1月31日号(7面)
「よろしいでしょうか――」 海外事業担当常務取締役・竹中半蔵が沈黙を切り取るように言った。 経済産業省大臣・勝豊が濁っ…
令和4年1月24日号(7面)
「大臣、お忙しいところご無理を申し上げてすみません」 万福鉄道代表取締役社長の梶川茂と海外事業担当常務取締役・竹中半蔵…
令和4年1月17日号(7面)
第五章因果 WJAの仁野の携帯電話が鳴った。 「いま、大丈夫?」声からすぐにキャロルとわかった。 時計を見る。午前9時…
令和4年1月10日号(11面)
■12月28日東京国税局・魚屋班 重光調査第一部長は、昨夜、仁野から聞いたJUN4社の話を、魚屋特官と成山総括主査を自…