所有するアパート等の貸家が一時的ではない「空室」のときに相続が発生すると、自用地や自用家屋としての価額から一定の減価が受けられる貸家建付地等ではなく、自用地等とみなされるなどして、相続税の評価額が上昇することがある。空室が一時的か否かの目安としては、国税庁のタックスアンサーで「賃貸されていない時期が課税時期の前後の例えば1か月程度」との一例が示されている。最新の公表裁決で、空室期間が1カ月半のものは一時的とされる一方、5カ月のものは一時的と認めない事案があった。


 平成28年12月7日に裁決があった本事案では、請求人が相続で取得した貸家1、貸家2、貸家3(いずれも木造アパート)について、貸家1は相続開始日前後の空室期間は最も短いもので約1カ月半(次に空室期間が短かったものは約8カ月)、貸家2は同約5カ月、貸家3は同約11カ月の部屋が存在した。なお、貸家2についてはユニットバスやキッチンの解体・新設、1Kタイプの居室2室を2DKタイプの居室1室に改修する工事などが進行中であった。
 請求人は、各貸家のうち、相続開始日時点で空室であった部分はすべて一時的に賃貸されていなかったものに該当するとしたが、税務署側は空室期間が1カ月半の部屋しか一時的に賃貸されていなかったものに該当しないとしたことなどから審査請求が行われた。
 裁決で、国税不服審判所は税務署側の主張を認め、空室期間が1カ月半であった部屋以外は一時的な空室には当たらないとした。貸家2については、現に改修工事が行われていたとの事情に対しても、最短でも5カ月を超えて空室状況にあったので、その事情を考慮してもなお一時的な空室であるとは認められないとした。
 20年6月の裁決では、定期的に補修を行ってきたことや空室となった後に速やかに入居者募集をしていたことなどを総合的に判断し、空室期間が1年11カ月であった共同住宅の一室を一時的な空室と認めたものがあった。しかし、近年は空室期間が3カ月(27年11月裁決)や4カ月(26年4月裁決)でも認められないとする裁決が続いており、納税者にとって厳しい判断が出るようになっている。


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平成29年7月31日号

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