ハイド・アンド・シーク~国際的租税回避を追え~
勢戸行健
平成28年(2016年) 49件の記事
平成28年12月26日号(5面)
後日談であるが、和田には、高額な救急車使用料、救急病院での治療代、宿泊費用の請求書が届いている。自動車事故の被害を補償…
平成28年12月19日号(9面)
23時45分過ぎ、和田はビル屋上の駐車場へ移動し、車の中で飛行機の離陸を待っていた。 車の中で待機を始めて間もなく、…
平成28年12月12日号(6面)
国税庁幹部は語気を強めて続けた。 「三浦が指南したと思われる国際的租税回避のスキームは必ず正す。その前に、まず彼自身…
平成28年12月5日号(5面)
三浦は、脱税や違法な租税回避行為には加担しなかったが、唯一、新岩の脱税行為には関わっていた。当時、三浦にはその行為に加…
平成28年11月28日号(5面)
国税庁幹部は、その足で空港へ向かいワシントンへ発った。 国税庁幹部と和田が事務所を出ると、三浦は窓越しにサンフランシ…
平成28年11月21日号(9面)
国税庁幹部は三浦の顔色をうかがいながら話を続けた。 「一つは、日本の地上げで得たバブル資金をサンフランシスコに持ち込…
平成28年11月14日号(5面)
数日後、国税庁の担当職員から和田へ指示が届いた。 「2週間後に国税庁の国際担当幹部が米国ワシントンDCで開かれる会議…
平成28年11月7日号(5面)
前日の10月17日夜、ルイジアナ州バトンルージュに留学していた服部剛丈(よしひろ)君(16歳)は、寄宿先の米国少年とと…
平成28年10月24日号(6面)
「人も、世の中も、外国のことも、一面を見て、人づての話を耳にして、決め付けるものではありません。批判すべき相手にも、社…
平成28年10月17日号(5面)
和田は三浦の話を聞き不愉快になっていた。それまでいろいろと親切に助けてくれた三浦だが、こういう考え方の人物だったのかと…
平成28年10月10日号(5面)
「わかりました。ご都合のよい日に伺います」 「もちろんです。では失礼します」 三浦は、店で和田と出遭ったときとは様…
平成28年10月3日号(5面)
コンサルタントの名前を聞き、和田は固まった。 「三浦賢」 和田は瞬間三浦の顔を思い浮かべていた。どういうことかと頭…
平成28年9月26日号(5面)
国税局調査部の調査官は、もう一点重要な調査情報を部内に持ち帰っていた。それは、湖島社長が湖島産業とはビジネス上の関係が…
平成28年9月19日号(5面)
湖島産業の関連会社、レーク・アイランド社の留保所得については20億円の減少、税額にして10億円程度の減少であった。また…
平成28年9月12日号(5面)
直後、湖島英明は取得した湖島産業株を時価100億円で香港子会社レーク・アイランド社に譲渡した。この譲渡により湖島英明は…
平成28年9月5日号(5面)
タックス・ヘイブン対策税制が導入されてから10年間、湖島は税負担もやむなしとして日本での納税を続けていた。しかし、税を…
平成28年8月29日号(5面)
(第3章までのあらまし) 1991年夏に米国サンフランシスコに国税庁から派遣された和田准一は、税務コンサルタントの三…
平成28年8月22日号(5面)
「入出国管理局に確認した情報を提供する。代表者新岩洋は1991年8月3日、米国サンフランシスコ空港から香港に向けて出国…
平成28年8月8日号(5面)
翌日、東山は三浦に報告した。 「和田さんは、まだ三浦さんのことを疑っていません」 和田が女性会計士と会っていた頃、…
平成28年8月1日号(5面)
和田が約束した時間に車で向かうと、東山がオフィスビル前の路上に立っていた。 東山は言葉を交わすこともなく和田の車の助…
平成28年7月25日号(5面)
「アメリカでは治安が悪いために、自己防衛として荷物を自分で守る姿勢が徹底していますが、日本の税務職員は別の理由ですね」…
平成28年7月18日号(9面)
うっとりする景色を眺めながら新鮮なシーフード料理、そしてカリフォルニア・ナパバレー、ソノマバレーのワインを堪能しながら…
平成28年7月11日号(5面)
「今日は、わざわざお越しいただきありがとうございました。この後、食事の予約をしていますので、ご一緒してください」 突…
平成28年7月4日号(9面)
ロサンゼルス暴動が静まり、しばらく経った頃、和田は三浦に事務所訪問の約束を取るための電話を掛けた。 「三浦さん、先日…
平成28年6月27日号(5面)
「日本の明治維新もある意味で、既得権を持った旧体制とそれ以外の人々の格差問題が根にあった。幕府の崩壊、武士の特権の剥奪…
平成28年6月20日号(5面)
ロサンゼルスの街に広がる炎、めちゃくちゃに壊された商店、さらにサンフランシスコ市内でも暴徒が我がもの顔で店を襲い、食料…
平成28年6月13日号(9面)
その日、和田は実態確認のため、サンフランシスコの対岸にある大学の街、バークレー市を訪れていた。確認依頼を受けたオフィス…
平成28年6月6日号(9面)
その日の夕方、耳慣れない言葉が繰り返されていた。メディアの音声も、街の人々も緊張した口調で叫んでいる。英語の意味は分か…
平成28年5月30日号(5面)
「日本人はルールを守ろうとします。そのうえでルールが不明の場合でもドアを押して相手に迷惑がかかることを避けるために、慎…
平成28年5月23日号(5面)
バブル時代の日本では、ゴルフは高額な遊興あるいは接待手段であり、公務員にとってはゴルフ場を訪れることだけで疑いの目で見…
平成28年5月16日号(5面)
「そして、会社組織のM&Aや再編などの資本取引を利用した方法が租税回避の手法として使えるかもしれない。この方法は金額も…
平成28年5月9日号(5面)
三浦のオフィスはサンフランシスコ湾を見下ろすダウンタウンにそびえる超高層ビルの高層階にあった。窓からは左に金門橋、正面…
平成28年4月25日号(5面)
老紳士は劇場の中央をゆっくりと歩を進め舞台の前で振り返り、老紳士の後を追ってきた和田に再び静かに語り出した。 「一つ…
平成28年4月18日号(5面)
やがて、市庁舎近くにあるオペラハウスに到着した。 オペラハウスでは、しばしばオペラやクラシック音楽、ミュージカルなど…
平成28年4月11日号(5面)
「和田さん、お早いですね。近頃の若い人には珍しい」 和田は少々戸惑いながら答えた。 「社会人になってから、約束時間…
平成28年4月4日号(5面)
「あなたは、たしか金門橋でお会いした方ですね。お久しぶりです。再会ということになりますか」 和田は思った。(いや、再…
平成28年3月28日号(5面)
三浦は、日本から来た企業家に米国での投資事情などについてしばしば話をした。 ある視察団に研修を行う際、折角の機会とい…
平成28年3月21日号(5面)
(第2章までのあらまし) 1991年夏、国税庁から長期出張者として和田准一は米国に派遣された。赴任直後、和田は国税庁…
平成28年3月14日号(5面)
この種の話になると、和田は聞き役に回るしかなかった。三浦はそれまでのソフトな雰囲気から少々強い口調で話し始めた。 「…
平成28年3月7日号(5面)
「すごいでしょ。これをお見せしたかった。ここがサンフランシスコの中国人街です。西半球で最大の中華街と言われています」 …
平成28年2月29日号(5面)
「今日はおもしろいところへお連れします。ちょっと歩きますがお付き合いください」 和田に断る理由はなかった。 ホテル…
平成28年2月22日号(6面)
「ええ、家族が間もなく到着しますので...。先日は大変お世話になりました。お礼もしないで...。では...」 急ぐ気…
平成28年2月15日号(5面)
「米国での投資物件はパシフィックグローブの土地付き住宅、カーメルのゴルフ場、ナパバレーのワイナリーという未確認情報を得…
平成28年2月8日号(5面)
部屋中に緊張が走った。皆が課長補佐に気合を入れられた気分となった。 課長補佐の発言は、当時の国税組織の海外取引調査に…
平成28年2月1日号(9面)
「あの方は、...赴任2日目に金門橋で会った人だ。間違いない」 車を降り、その老人を追うように再びワイナリーに戻った…
平成28年1月25日号(5面)
フリーウェイ101を北上しサンフランシスコ市内を通り抜けてベイブリッジを渡る。対岸のオークランドから再び北上し1時間余…
平成28年1月18日号(5面)
和田は国税職員という職業柄、酒は嗜んだが、もっぱら国内党であった。ワイナリーを訪ねるには、ワインについてある程度の知識…
平成28年1月11日号(5面)
「あの方の知り合いですか。気の毒にね...。だいぶ前になりますが、あの方、ここに来ましたよ。結構金を持っているみたいで…
平成28年1月4日号(9面)
モントレーの町から海外線を南下していくとすぐに高級邸宅が並ぶパシフィックグローブの地域になる。この地域からカーメルに至…