ハイド・アンド・シーク~国際的租税回避を追え~
勢戸行健
平成27年(2015年) 19件の記事
平成27年12月21日号(5面)
国税庁の指示はなかったが、和田は行動を起こした。 国税の職場に入って以来、繰り返し上司や税務大学校で受けた指導があっ…
平成27年12月14日号(5面)
最後に国税庁の担当官は一言付け加えた。 「ただし、回答は急いでください」 和田は、その日のうちに最低限米国子会社の…
平成27年12月7日号(9面)
国税庁からの指示文書は更に続いた。 「ちなみに、米国子会社は、カリフォルニアのモントレーに隣接するパシフィックグロー…
平成27年11月30日号(5面)
生活基盤も整い、仕事に専念できるようになった頃のある朝、日本の国税庁から情報収集の指示が来た。 米国は4月から10月…
平成27年11月23日号(5面)
(第1章のあらまし) 1991年夏、国税庁から長期出張者として和田准一はサンフランシスコに派遣された。赴任直後、ゴー…
平成27年11月16日号(5面)
「タックスヘイブンを利用する」 三浦の言葉に社長が反応した。 「タックス・ヘブン...?税金天国ですか」 頭に残…
平成27年11月9日号(5面)
「税の負担を減らす方法はいくつかあります。節税、合法的な租税回避、そして脱税。実は、私はもう一つの分類があると思ってい…
平成27年11月2日号(5面)
三浦賢は世界的な大会計事務所のサンフランシスコ事務所に勤務していた。 話は2年ほど前、1989年秋にさかのぼる。この…
平成27年10月26日号(5面)
二人は坂の街、サンフランシスコの名物通りであるロンバート通りを車で下りた。つづら坂のくねった道を右、左と鋭角にハンドル…
平成27年10月19日号(5面)
男は突然空を見上げ背伸びをしながら声を上げた。サンフランシスコは晴天であった。 「あんまり緑が美しい。今日これから.…
平成27年10月12日号(5面)
足の悪い和田を気遣い、男は車を運転しながら、街の説明を続けた。シビックセンターからマーケット通りに出て、間もなく不思議…
平成27年10月5日号(5面)
和田の答えに応ずることなく、再び男は問いかけた。 「お仕事ですか。赴任されたのですね」 和田の様子で転勤してきたこ…
平成27年9月28日号(4面)
「おまえが殺した。国税がやった」 ただの夢か、何かの暗示だったのか。後々まで和田の心に残る夢であった。 そして、も…
平成27年9月14日号(4面)
「だめだな。おそらく遺体も上がってこないだろう」 昨日の老紳士の言葉を思い出しながら、暗く重い海を見つめていた。その…
平成27年9月7日号(4面)
警察に、救助に向かう様子はまったくなかった。しかし、和田も今更これ以上の問答をしたいとも思わず黙っていた。後に、米国生…
平成27年8月31日号(4面)
その後、ロサンゼルス、香港、シドニー、シンガポールなど、税務上の必要性の高い世界各地に国税調査官が派遣され、現地の一般…
平成27年8月24日号(4面)
金門橋は大きな橋である。投身を図る男までの距離は1キロ近いかもしれない。ついに男は、橋上から身を投じた。誰も何もできな…
平成27年8月10日号(4面)
金門橋の袂の公園には石碑が建てられていた。石碑には「1937年建立」と書かれていた。1937年と言えば昭和12年、日中…
平成27年8月3日号(4面)
プロローグ 「米・国税庁が米国日本子会社に追徴金(1978・11)」「米国日本車に過少申告容疑(80・2)」「日米税…