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【Q52】取引先にインボイス発行事業者とそうでない者がいる場合に取引条件に差をつける際の例

2023年06月16日 税のしるべ電子版 無料公開コンテンツ

Q52、取引先にインボイス発行事業者とそうでない事業者(免税事業者)がいる場合に取引条件に差をつける際の例を教えてください。

 A 令和5年4月24日に開催された第2回適格請求書等保存方式の円滑な導入等に係る関係府省庁会議で国交省が示した資料の中で、軽貨物輸送業を営む個人事業主で組織される協同組合の全国団体「全国赤帽軽自動車運送協同組合連合会」の取組みが示されています。

 同連合会傘下の全国44の協同組合は荷主から運送の依頼(共同受注)と運賃の支払を受け、所属組合員に業務を斡旋して手数料を差し引いた運賃を渡しています。

 インボイス制度の導入に当たり、各協同組合は所属組合員にインボイス発行事業者登録の働きかけをするものの、免税事業者を維持したい組合員が所属する協同組合は免税事業者に個別または研修会等を通じて適切な説明を丁寧に行うことを条件に、インボイス発行事業者の組合員とそれ以外の組合員とで手数料料率に差をつけることを認めることとしたそうです。

 具体的には、インボイス発行事業者である組合員には手数料A%を差し引きした運賃で精算する一方、それ以外の組合員には手数料A%+α%を差し引きした運賃で精算。+α%は、インボイス導入後3年は経過措置により免税事業者等からの仕入れであっても仕入税額相当額の80%(その後3年は50%)の控除が可能となるので、協同組合が負担することになる残り20%相当を手数料料率に上乗せするとしています。

 資料にある独占禁止法の考え方では、各協同組合がインボイス制度の導入後に、インボイス発行事業者にならない組合員に対して消費税相当額の手数料を差し引くことを要請し、取引価格の再交渉で免税事業者の諸経費の支払に係る消費税の負担をも考慮した上で、双方納得の上で取引価格を設定する場合は、取引価格の決定方法が不当とはいえないと記載されています。

 こうした取組みを参考にしてみてはいかがでしょうか。

 参考:第2回適格請求書等保存方式の円滑な導入等に係る関係府省庁会議資料

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