電子版限定「毎日更新、インボイス制度Q&A」編集部編

【Q25】契約書類と口座振替の記録はあるが、請求書等の交付は受けていない事務所家賃の支払い

2023年05月10日 税のしるべ電子版 無料公開コンテンツ

Q25、当社は事務所を賃借し、口座振替により家賃を支払っています。契約書類はありますが、請求書や領収書の交付は受けておらず、家賃の支払の記録は銀行の通帳に口座振替の記録が残るだけです。請求書等の保存要件を満たすためにはどういった対応が必要でしょうか?

  通常、契約書に基づき代金決済が行われ、取引の都度、請求書や領収書が交付されない取引でも、仕入税額控除を受けるためには、原則として、適格請求書(インボイス)の保存が必要です。この点、適格請求書は、一定期間の取引をまとめて交付することもできますので、相手方(貸主)から一定期間の賃借料についての適格請求書の交付を受け、それを保存することによる対応も可能です。

 なお、適格請求書として必要な記載事項は、一の書類にすべてが記載されている必要はなく、複数の書類で記載事項を満たせば、それらの書類全体で適格請求書の記載事項を満たすことになります。このため、契約書に適格請求書として必要な記載事項の一部が記載されており、実際に取引を行った事実を客観的に示す書類とともに保存しておけば、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

 質問のようなケースでは、適格請求書の記載事項の一部(例えば、課税資産の譲渡等の年月日以外の事項)が記載された契約書とともに通帳(課税資産の譲渡等の年月日の事実を示すもの)をあわせて保存することで、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。また、口座振込により家賃を支払う場合も、適格請求書の記載事項の一部が記載された契約書とともに、銀行が発行した振込金受取書を保存することにより、請求書等の保存があるものとして、仕入税額控除の要件を満たすこととなります。

 インボイス制度が始まる前の令和5年9月30日以前からの契約について、契約書に登録番号等の適格請求書として必要な事項の記載が不足している場合には、別途、登録番号等の記載が不足していた事項の通知を受け、契約書とともに保存していれば差し支えありません。

 参考:国税庁「消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A」の問95

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