国税庁は1日、令和3年分の路線価等を公表した。全国約31万9000地点の標準宅地の評価基準額の対前年変動率の平均値は、0.5%のマイナス(前年は1.6%)となり、6年ぶりに下落した。都道府県別でみると、北海道、宮城、千葉、福岡、佐賀、熊本、沖縄の7道県が上昇し、山形県が横ばいで、残りの東京、神奈川、愛知、大阪など39都府県が下落した。
全国的な特徴としては、「新型コロナウイルスの影響により下落傾向で、弱含み」(同庁)となっており、地方圏よりも3大都市圏の下落が大きく、特に大阪局管内は新型コロナウイルスによるインバウンド消滅の影響で他局に比べて下落幅が大きい。
都道府県庁所在都市の最高路線価を見てみると、上昇した都市は、札幌、仙台、宇都宮、千葉、横浜、福井、佐賀、大分の8都市で、上昇率はいずれも5%未満。最も大きい上昇率だったのは、再開発が進んでいる仙台市青葉区中央1丁目青葉通りで3.8%(330万円)だった。一方、下落率が一番大きかったのは、奈良市東向中町大宮通りのマイナス12.5%(70万円)で、新型コロナウイルスの影響により観光客不在の状態が長期化したことが要因。
また、全国で最高路線価が最も高かったのは、東京都中央区銀座5丁目銀座中央通りの「鳩居堂」前で、昭和61年分以降36年連続で最高となったが9年ぶりに下落し、下落率は7.0%となっている。1平方メートル当たり4272万円で、前年より320万円下がった。
なお、同庁はコロナ禍の景気後退の影響による不安定で不透明な経済状況を踏まえ、念のために3年分も前年と同様に地価動向を調査していく方針で、もしも大幅に地価が下落し、路線価が時価を上回った場合は減額補正を行うとしている。
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