国税庁は6月17日、令和2年度査察の概要を公表した。同庁では、消費税の輸出免税制度などを悪用した「消費税受還付事案」や海外に不正資金を隠す「国際事案」のほか、「無申告事案」、市場が拡大する分野などの「社会的波及効果が高い事案」を重点事案として積極的に取り組み83件を告発、その脱税総額は過去最少の69億2600万円だった。
新型コロナウイルス感染拡大による勤務抑制や移動制限などの影響を受け、着手件数や告発分の脱税総額は減少したものの、告発率は、平成20年度依頼の高水準となり、海外取引に絡む国際事案は、過去5年間で最も多い27件を告発するなど、「トータルとしては、一定程度の貢献はできた」(同庁)としている。
詳しくみると、同年度の査察着手件数は、前年度より39件減の111件で、同年度中に処理(検察庁への告発の可否を最終的に判断し処理)した件数は同52件減の113件、そのうち検察庁に告発した件数は同33件減の83件、告発率は同3.2ポイント増の73.5%となっている。同年度に処理した査察事案に係る脱税額は総額で90億5000万円(前年度比24.5%減)、そのうち告発分は69億2600万円(同25.4%減)だった。告発した事案1件当たりの脱税額は8300万円(同3.7%増)となっている。
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