令和2年度は新型コロナウイルスの感染防止・治療と国民生活への影響を緩和するため、逐次、3回の補正予算が組まれた。
国民全員に1人10万円配布・GoToトラベルなどを盛り込んだ第1次補正予算25・6兆円、資金繰り対策・持続化給付金強化・家賃支援給付金・コロナ対策予備費10兆円などを盛り込んだ第2次補正予算31・9兆円、ポストコロナ対策・コロナ拡大防止策・防災減災国土強靭化などを盛り込んだ第3次補正予算15・4兆円が追加され、補正後の令和2年度予算は175・6兆円、当初予算から70兆円余増加した。補正予算の財源は、景気の下振れで税収が当初予算63・5兆円を8兆円余下回る55兆円に減少、そのカバーを含めて国債発行に依存、国債発行額は当初予算の32・5兆円を80兆円程上回る112兆円余となった。コロナ異常事態対応とはいえ、驚くべき財政赤字が生じている。これは全て将来の国民負担となる。
3次補正と同時に編成された令和3年度予算は総額106・6兆円、2年度当初予算比4兆円、3・8%の伸びとなっている。社会保障費35・8兆円、国債費23・7兆円、地方交付税交付金15・9兆円、コロナ対策予備費5兆円などである。財源は、税収は57・4兆円で前年当初比6兆円の減、国債発行は43・5兆円で前年当初11兆円増と財政赤字は大幅に増加している。
コロナ対策は、他の諸国も財源は国債発行によっているが、我が国の財政赤字は、コロナ以前において、これら諸国に比べ各段に大きく、財政再建が課題であった。コロナのような異常事態に備えるためにも、より早く財政状況を改善すべきであったのであり、諸外国と同列には論じられない。
コロナ対策で肝心なのは感染予防、治療対応である。経済対策もコロナでの失職、生活困窮者に対しての対応、休業要請をした場合の一定の補償は必要である。しかし、政府の対応策は泥縄の感が拭えない。より的確な対応策が望まれる。
3年度予算も、コロナ対応の必要と現下の財政状況を踏まえ、既定計画、政策の中止、繰延べを大胆に行い、財政赤字を圧縮すべきであったと思う。
巨額の財政赤字でも綻びが目立たないのは、日銀の国債買上げによるが、それは永続できるものではない。財政再建はコロナ禍でも目を瞑れない課題である。(匡)