年末調整申告書など源泉徴収関係書類のデータ提供、税務署長の承認が不要に
2021年01月25日 税のしるべ 無料公開コンテンツ
令和2年分の年末調整では、年末調整申告書作成用ソフトウェアの提供が始まるなど、年末調整手続の電子化が大きく進んだ。企業が、従業員から扶養控除等申告書など年末調整申告書について電子データで提供を受けるには、あらかじめ所轄税務署長に申請書を提出し、承認を受ける必要がある。令和3年度税制改正大綱には、年末調整申告書など源泉徴収関係書類について、その税務署長の承認を不要とする改正が盛り込まれた。適用時期は、令和3年4月1日以後に提出する源泉徴収関係書類となっている。
現行において、その税務署長の承認を受ける場合に提出するのは「源泉徴収に関する申告書に記載すべき事項の電磁的方法による提供の承認申請書」。みなし承認となっており、申請書を提出した月の翌月末日までに税務署長から承認または承認しないことの決定の通知がなければ、申請書を提出した月の翌月末日に承認があったものとされる。例えば、8月末までに申請書を提出し、承認を受ければ、10月から電子データによる提供が可能となる。
今回の改正で、電子データで提供を受ける場合の要件である、給与等の支払者が受けるべき税務署長の承認を不要とする源泉徴収関係書類は、①給与所得者の扶養控除等申告書、②従たる給与についての扶養控除等申告書、③給与所得者の配偶者控除等申告書、④給与所得者の基礎控除申告書、⑤給与所得者の保険料控除申告書、⑥給与所得者の住宅借入金等を有する場合の所得税額の特別控除申告書、⑦所得金額調整控除申告書、⑧退職所得の受給に関する申告書、⑨公的年金等の受給者の扶養親族等申告書となっている。
年末調整申告書とともに提出する控除証明書等については、申告書を電子データで提供する場合、控除証明書等も電子データで提供できる。
なお、自民党税制調査会での資料によると、電子データで提供を受ける場合の要件のうち、給与等の支払者において電子データを提出した者を特定するために必要な措置が講じられていることなどの要件は維持するとしている。
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