過去の連載「ひとり税理士の自宅仕事術」税理士 ・ 井ノ上 陽一

第2回/電話をなくそう

2020年06月02日 税のしるべ電子版 無料公開コンテンツ

電話は音が出る

 私は電話をほぼ使っていません。お客様とのやりとりでは、電話は皆無です。電話の欠点は、「音が出る」ということ。

 自分が電話を受ける側だと、受信時に着信音が鳴りますし(または振動)、電話を使うには自分の声を出さなければいけません。自分が電話をかける側であれば、着信音を鳴らし、声を出していただけなければいけなくなります。

 自宅で仕事を効率的に進めるには、この電話をなくさなければいけません。自宅に家族がいる場合、いない場合で事情は異なり、自宅に家族がいる場合は、なおさら電話を使いたくないものです。お客様との会話を家族に聞かれる可能性はありますし、かといってベランダや外で電話をするというのも、本末転倒です。

 また、電話をするときには、静かにしてもらう必要があり、家族に気を使わせてしまい、ときには我慢を強いることにもなるでしょう。

そして、自宅に家族がいる、いないに関わらず、電話は集中力を乱すため、使いたくないものです。

電話は集中力を乱す

 仕事をしていて、電話がくると、そのときの仕事を中断しなければいけません。仕事を中断して、また元の集中力に戻るまでには、それなりの時間がかかります。

 そして、いつでも電話に出ることができるわけではありません。他の仕事をしているときには出ることはできないでしょう。また、集中して仕事をしたいときに電話に出たいと思わないはずです。

 電話に着信があり、そのときは出ないとしても集中力は乱れます。音を出さず、マナーモードにしていたとしても、振動が気になるものです。

 電話に対応することで、「今」やっている仕事の先にいらっしゃるお客様に迷惑をかけることにもなります。ましてや打ち合わせ中に電話に出ることはなくしたいものです。

 ひとり税理士の場合は、電話をとってもらうことはできませんので、これらのデメリットはより大きくなります。かといって、「電話をとってもらう」ために人を雇うことはやりたくないでしょう。

 「いつでも電話に出ることができない」「電話に出たくないときもある」のは、お客様側も同様で、こちらが電話をかけると、その仕事を中断しなければいけません。むしろお客様の仕事の邪魔をしているわけです。

 着信があり、電話をかけ直したとしてもお客様が出ることができる状況とは限りませんし、その折り返しの電話がかかってきたとしても今度はこちらが電話に出ることができないというすれ違いもあり得ます。

 そんなすれ違いで時間を費やしていては、仕事は思うように進みません。もちろん、まったく気にならない方は電話を使えばいいかもしれませんが、こちらは気にならなくてもお客様は気になる場合もあるわけです。

 電話をやめ、メールでやりとりするようにしましょう。

 ただし、税理士の場合、税務署(その他の役所、金融機関)はどうしようもありません。私も渋々電話はしておりますが、電話の着信音を切って、かけなおすのは、こちらのタイミングです。

 可能であれば電話ではなく、郵送で書類を送っています(後ほどの連載でもご紹介する Web ゆうびんを使っています)。電話がかかってこないようにミスや漏れのない仕事をするというのも大事でしょう。

 お客様とのやり取りであれば電話ではなくメールにすることは不可能ではありません。対税務署で電話を使うからといって、お客様ともそのまま電話を使うことはやめましょう。「電話を使うから」という理由で、満足度が下がることは十分ありえます(私は電話を使うサービスは申し込みません)。

「メールでいい」ではなく「メールがいい」

 メールは、それぞれの邪魔をせずに、送ったり受けたりすることができるものです。またメールは記録が残り、ファイルを送ることもできます(ファイルを送るよりもデータの共有がおすすめですが)。

 音も出ませんので(メールの着信音をオフにしていれば)、家族がいても気にする必要はありません。子供と遊びながらメールを返すこともできます。

 「電話のほうが丁寧」という認識を捨て、「メールで失礼します」「メールですいません」と書かない、言わないようにしましょう。

 「メールでいい」ではなく「メールがいい」のです。

 効率化の基本は、自分もお客様も効率化できること。

 電話をなくすことでそれをなし得ます。

 自宅仕事を効率化し、お客様の役に立つためにも、電話をなくしていきましょう。

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