過去の連載「ひとり税理士の自宅仕事術」税理士 ・ 井ノ上 陽一

第1回/自宅での仕事の注意点とは

2020年05月26日 税のしるべ電子版 無料公開コンテンツ

 はじめまして。税理士の井ノ上陽一と申します。ひとり税理士の自宅仕事術として、本連載を担当させていただくこととなりました。

 私は、独立して13年弱。ほぼ自宅で仕事をしています。登録は、東京都の自宅(妻と3歳の娘と3人暮らし)です。誰も雇っていません。税理士業務は、自宅で行っております。

日税連のQ&A

 自宅での仕事は、昨今、在宅勤務(テレワーク、リモートワーク)として注目を浴びています。自宅で仕事をする機会が増えている方もいらっしゃるでしょう。日本税理士会連合会業務対策部からも、2020年4月に、『税理士の業務とテレワーク(在宅勤務)~新型コロナウイルス感染防止対応版~』(以下「Q&A」)が発表されました。

 本連載では、ひとり税理士について取り扱いますので、ここで注目したいのは、Q&Aにある『開業税理士が、登録している事務所所在地とは別の自宅で税理士業務を行う場合、税理士法上の問題点・留意事項はありますか?』という点です。自宅で登録している場合は、Q&Aにもあるとおり、自宅で仕事をすることには何ら問題はありません。

 一方、自宅とは別に事務所を持ち、その事務所で税理士登録している場合、自宅で仕事(税理士業務)をすることは、税理士法上問題があるかどうかということです。

自宅で仕事をしてもいいのかどうか

 Q&Aにもあるとおり、税理士法第40条第1項には、「税理士及び税理士法人は、税理士業務を行うための事務所を設けなければならない。」と定められており、その設けた事務所以外で仕事をすることは制限されていません。

 お客様先で仕事をすることもあるでしょうし、事務所以外である自宅で仕事をすることは問題ありません。

 また、税理士法第40条第3項には、「税理士は、税理士事務所を二以上設けてはならない。」とあります。登録事務所がありながら、自宅で仕事をすると、この規定に反するのかどうか。

 Q&Aによると、「臨時的に仕事を自宅に持ち帰り税理士業務を執行したり、自宅への来客に対し一時的に税務相談に応じる等の行為を行ったとしても、自宅が外部に対する表示の有無等の客観的事実により税理士事務所と判断される状態でなければ、2か所事務所の問題は生じないものと考えられます。」とあります。

 臨時的であれば、自宅での税理士業務は認められているということです。新型コロナウイルス感染防止の目的のために自宅で仕事をするのは、「臨時的」といえるでしょう。

 自宅で登録している税理士以外でも、自宅で仕事をする機会は増えているのではないでしょうか。

自宅での仕事の注意点

 もし自宅で仕事をするのであれば、税理士法第38条「税理士は、正当な理由がなくて、税理士業務に関して知り得た秘密を他に洩らし、又は窃用してはならない。税理士でなくなつた後においても、また同様とする」の秘密を守る義務にも注意する必要があり、Q&Aにも「ただし、いずれの場合であっても、税理士法第38 条(秘密を守る義務)及び同法第54 条(税理士の使用人等の秘密を守る義務)にご注意願います。」とあります。

 当然、これは守るべきことです。

 ・自宅で秘密を守ること

 そして、

 ・自宅で効率よく仕事をすること

 は、自宅以外の場所で仕事をすることと、また違った知識やスキルが欠かせません。

 自宅では、誘惑も多いものですし、集中して仕事ができないという場合もあるでしょうし、外出制限により、自宅で仕事をする時間も増えた、家族とともに仕事をするようになったという状況の変化もあるでしょう。

 本連載では、

 ・自宅だからこそ気をつけなければいけないこと

 ・自宅だからこそやらなければいけないこと

 ・自宅で仕事をする上でなくさなければいけないこと

 といった自宅での仕事術を、次回よりお伝えしていきます。

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