令和2年度税制改正で見直される連結納税制度の改正内容が固まった。制度の適用実態やグループ経営の実態を踏まえ、損益通算の基本的な枠組みは維持しつつ、企業の事務負担の軽減等の観点から簡素化等を行う。適用は企業の準備等を考慮し、令和4年4月1日以後に開始する事業年度からとする。また、名称は政府税制調査会で示されていたとおり、「グループ通算制度」とする。12月11日の自民党税制調査会で示された新制度の概要は次の通り。
▽個別申告方式
・企業グループ全体を一つの納税単位とし、一体として計算した法人税額等を親法人が申告する現行制度に代えて、各法人が個別に法人税額等の計算および申告を行う。
▽損益通算・税額調整等
・欠損法人の欠損金額を所得法人の所得金額と損益通算する。
・研究開発税制および外国税額控除については、企業の経営の実態を踏まえ、現行制度と同様、グループ全体で税額控除額を計算する。
▽組織再編税制との整合性
・開始、加入時の時価評価課税、欠損金の持込み等について組織再編税制と整合性が取れた制度とし、通算グループの開始、加入時の時価評価課税や繰越欠損金切り捨ての対象を縮小する。
▽親法人の適用開始前の欠損金の取扱い
・親法人も子法人と同様、グループ通算制度の適用開始前の繰越欠損金を自己の所得の範囲内でのみ控除する。
▽中小法人判定の適正化
・通算グループ内に大法人がある場合には、中小法人特例を適用しない。
▽地方税
・現行の基本的な枠組みを維持しつつ、国税の見直しにあわせて所要の措置を講ずる。
関連記事
- 令和4年08月15日グループ通算制度のQ&Aで追加等、追加が5問、一部改訂が11問
- 令和4年05月02日国税庁がグループ通算制度の利便性向上施策や留意事項を周知
- 令和4年03月14日連結法人は手続なければグループ通算法人に自動移行、移行しない場合は届出書の提出必要
- 令和4年03月07日電子申告の義務化に通算法人の法人税申告を追加
- 令和3年07月05日グループ通算制度のQ&Aを改訂等、青色申告の承認の取消しなどで
- 令和3年04月05日グループ通算制度の通達で趣旨説明、主要制定項目以外について
- 令和2年12月07日グループ通算制度の通達で趣旨説明を公表
- 令和2年10月12日グループ通算制度の通達を制定
- 令和2年08月31日国税庁がグループ通算制度に関するQ&Aを改訂
- 令和2年07月06日グループ通算制度に係る政省令を公布
- 令和2年06月15日グループ通算制度、事後の調査で所得金額が異なった場合は全法人で損益通算の再計算をする場合も
- 令和2年06月08日国税庁がグループ通算制度のQ&A、疑問点等に係る税務上の取扱いなど43問
- 令和2年06月03日国税庁がグループ通算制度のQ&Aを公表電子版
- 令和2年04月20日国税庁がグループ通算制度のパンフを公表
- 令和元年12月23日グループ通算制度は令和4年4月1日以後開始する事業年度から、開始の日の前日までに届出で単体納税法人に移行も可
- 令和元年12月11日2年度改正の連結納税制度の見直し内容固まる、「グループ通算制度」は令和4年4月1日以後に開始する事業年度から電子版
- 令和元年09月02日政府税調総会で連結納税の見直しを報告、名称は「グループ通算制度」へ、令和2年度税制改正の予定
- 令和元年08月19日政府税調が連結納税制度の見直しで非公開会合、9月を目途に取りまとめ
- 令和元年07月01日政府税調が連結納税のグループ調整計算の見直しを議論、財務省が廃止等について論点を示す
- 令和元年04月22日政府税調、連結納税制度の見直しで欠損金の持ち込み制限などを議論