海外法人の業務に従事して1年のうちの多くを海外で過ごし、自らの生活の拠点がシンガポールにあると考えていた納税者が「非居住者」に該当するとの認識のもと所得税の申告をしなかったところ、課税庁が「居住者」に該当すると判断し、争いになっていた訴訟の控訴審で東京高裁(野山宏裁判長)は11月27日、地裁判決(6月10日号2面参照)と同様に納税者は非居住者に当たるとの判決を下した。あわせて同高裁は納税者の日本国内の保有資産額が大きかった点について、資産の所在はそれだけで居住者判定に大きな影響力を与える要素ではないと指摘。「資産の大半をカリブ海の国又は地域で保有していても、主に日本に滞在し、主に日本で経済活動をしている者は、居住者である」といった例を挙げ、逆に本件では「資産の所在を理由に日本国内の居住者と判定するには無理がある」などとした。
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