「素敵な夢ね。諦めずに努力すればきっと叶うわ。」と満面の笑みで答えてくれた介護施設の利用者さん。この言葉と笑顔は今でも忘れられない。

 先日、中学校で税についての授業を受けた。その中で「社会保障」という言葉が出てきた。これは、私たちが安心して生活していくために必要な公的サービスのことである。現在日本では少子高齢化が進み、それに伴って社会保障費に関する支出が増えている。また、少子化は、納税の義務を持つ人口を減らしている。二〇〇〇年では一人の高齢者を約四人で支えていたのに対し、二〇五〇年には一人で一人を支えることになる。私はこの資料を見て将来が不安になった。自分のためでなく、高齢者のために生きることになるのではないか。納税に苦しみながら暗い毎日を過ごすのではないか。そんなことを考えていると、ふと一年前の記憶が頭をよぎった。最近できた介護施設へ五日間、職場体験をした時のことだ。介護士の方は常に動き、休憩なく手足を動かしていた。一人で何人もの利用者さんを介護し、掃除、洗濯、食事の準備などを少人数で分担して行っていた。これを見て私は今まで実感が湧かなかった「働き手と高齢者の比率」を間近で感じ、この深刻な状況を痛感した。一方、利用している家族の方が「凄く助かっている」とスタッフの方に頭を下げ感謝している姿を見た。税のおかげで命は救われ、長生きできる高齢者の方が増えている。

 実際、納税に喜びを感じている人はいるのだろうか。テレビでは時折「滞納者」が取り上げられる。「税金なんていらない」「これ以上増税するなんてとんでもない」という人も多い。こうした批判的な意見は税金のことを知らず、納税による恩恵を知らないことが原因である。今は苦しくてもいずれは私たちも今以上に社会保障に支えられる。お金を気にせず救急車や消防車を呼べる、舗装された安全な道を通って通勤・通学ができる、ごみのない美しい町で暮らせる...。これらは当たり前のようで当たり前でない。納税している私たちが、今日、明日、明後日...とこれからの幸せをつくっているのだ。「自分のお金を取られる」という見方をしていないか。あるいは
「まだ納税の義務を待つ年齢じゃない」と税について他人意識を持っていないか。税は難しいが、身の周りにたくさん使われている。年齢関係なく人々は税に助けられている。もう一度税について考え直していただきたい。

 私は将来、福祉関係の仕事に就きたい。社会保障制度で生活保護や医療、福祉サービスを受けながら懸命に生きる高齢者の方々の手助けをしたい。今回、税の作文を書くに当たって納税の苦しさを知った一方、大切さも知った。私が納税する頃はきっと今よりも負担が大きいだろう。しかし、それをマイナスに捉えるのではなく、未来を想い、税に感謝できる納税者になりたい。

平成30年12月3日号

平成30年12月3日号