「日本に住めるって幸せだね。」

 私は父の仕事の関係で、小学生のとき、海外に住んでいた。「海外」とだけ言ったら、世界の中心都市であるニューヨークや上海などの景色を思い浮かべる人は少なくないだろう。だが、私が住んでいた国の様子はこれとは全く異なるものだった。私は発展途上国に住んでいたのである。

 カトマンズ。かの有名なエベレスト山が北側に位置するネパールの首都である。そこで私は二年半生活を送った。国の中で最も発展している場所であるべきの首都だが、無論日本の首都である東京とは少しも似ていない。停電が頻繁にあり、生活に使用できる水の量は限られている。停電が原因でお湯も出ず、水でシャワーを浴びる。道路は舗装されておらず、建設などの工事も軽く数年はかかる。こういうことが当たり前だった。暮らしているうちに慣れてはくるものの、快適な生活ではなかった。

 四年前、私は進学の関係で日本に帰国した。私は日本の素晴らしさに感銘を受けた。電気や水道、コンビニや舗装された道路。初めて見たわけでもないのに、全てがとても輝かしく見えた。その日から、私は日本にある様々なものに感謝するようになった。

 現代の日本は、世界の中でも有数の先進国である。何事においても設備や仕組みが整っており、不自由なく生活を送ることができる。

 これはなぜか。私は、この問いの答えは税金にあると思っている。税金は、普段何気なく払っているが、公共施設や小中学校など、たくさんの目的に使われている。「税金が高い」と思うこともあるかもしれないが、税は必要不可欠なのである。これがなければ人間らしい生活ができない。考えればよくわかることだが、現代の日本人でそれを意識している人は少ない。これは、日本人に感謝の気持ちが足りないからである。

 この税の制度を取りまとめている政府。一生懸命に働いて得たお金を納める納税者。税金を使って施設などを作ってくださる方々。感謝する相手はこんなにいる。しかしその気持ちを忘れてしまう。

 では忘れないためにはどうすればよいか。それは「税」をより理解することである。そこで、私は「税」という漢字について調べた。

 「税」という漢字は、「禾」と「兌」に分けられる。「禾」は秋や穂などのように稲が実った形からきており、そこから転じて、税、租などお金を意味することが多い。そして「兌」は訓読みで「兌(よろこぶ)」となる。つまり、「税」というのは、「よろこびを与えるお金」なのである。税金を払うことで互いに支え合い、よろこびを贈り合う。そして、互いに感謝する。これらが大切である。

 稲作が古くから根づく日本だからこそ、この税の制度は成り立つ。これを知れば、あなたも税に感謝し、身近な幸せに気づくだろう。

平成30年12月3日号

平成30年12月3日号