夏休みの間、私は母と一緒に出勤している。母が勤める会社は子連OKの会社なのだ。幼稚園児や小学生に混じって経理担当の母の傍らで勉強をしている。

 そんな毎日にもすっかり馴染んだ八月十日、母が

「今日は源泉所得税の納付を忘れんようにせんと。」

と言った。聞くと社長さんや従業員さんのお給料から所得税をあらかじめ差し引いて、そのお金を毎月一回経理担当の母が税務署に納めているらしい。

「今から税務署に行くん?私は会社で待っとったらええん?」

そういう私に母はこう言った。

「税務署とか銀行に行かんでもインターネットで納めることができるよ。」

 母はパソコンで、国税電子申告・納税システム(e―Tax)を立ち上げ、納税額を手慣れた様子で入力し始めた。

「これが済んだら、インターネットバンキングで支払うんよ。」

「ふうん、便利やね。」前は納付書を手書きで作り、銀行の窓口まで行って支払っていたらしい。

「便利になったわ。」うれしそうに母は言った。

「五十日(ごとおび)ゆうて、五と〇が付く日は忙しいんよ。銀行も混むし。このシステム使うようになってから気持ちに余裕ができたわ。」

 私が物心ついた頃にはインターネットは当たり前のようにあったが、母からしてみればそれは目を見張るものであり、それは納税の世界でも同じで日々進化をしているらしい。

「自動車税はクレジットカードで支払えるし、いろいろ便利になったよ。」

 と微笑む母。

 中学生の私が、よりよい生活や教育を受けるためにたくさんの税金が使われていることは学校で学んだり、身を持って感じてきたが、こんな風に税金が納められていたなんて、母の仕事場について来なければ知るのはまだ先のことであっただろう。まだまだ知らないことはたくさんあるが、小さい点と点が細い一本の線につながった瞬間であった。

 複雑で面倒であった納税の手続きが日々楽になっているということは、それだけ我々に身近になってきているということだろう。そしてそれは、税金の使い方について一人一人が今までより考えるきっかけにもなるだろう。私が大人になった時は今よりもっとよくなっているだろうか...。いや、よくしなくては!少しばかり真面目に将来について考えてみる。夏休みの出勤も悪くないなと思った。

平成30年12月3日号

平成30年12月3日号