以前我が家に数十年前の中学校の英語の教科書があった。その中に日本が行っている国際協力について書かれている個所があったのだが、特に「help」と「support」の違いについての話が深く印象に残っている。

 発展途上国の人達に直接お金をあげたり何かを作ってあげたりする(=help)ことは難しいことではないが、それだけでは真の意味で彼らの役には立つことにはならない。勉強を教えたり仕事のやり方を教えたりして彼らが自分達の力で生活していくための力をつける(=support)ことこそが大切なのだ。そういう内容だった。

 「なるほどなあ!」と、日本の国際協力の考え方・取り組み方に感動した。

 平成三〇年の日本の海外への経済協力費は五〇八九億円。これは一般会計歳出総額の約〇・五%に当たるそうだ。

 この大きな金額に対し、「自分達の税金をなぜ外国にあげなきゃならないんだ?」「外国にお金を援助する余裕があるならまず国民に還元するべきだ」という意見も多くある。

 一瞬納得しそうになる。でもそれは、この世界の中で、これまでもこれからも、日本がどの国からも助けられたことがなく、これからも絶対に他国からの援助を受けない、という状況下でのみ受け入れられる意見ではないだろうか。

 二〇一一年の東日本大震災。あの時、日本には世界各国から膨大な数の救援物資や寄付金が届いた。被災地の方々はどんなにかありがたく心強かったろう。私自身は被災していないが、海外の方の温かい気持ちに日本人として心から嬉しかった。

 高額の寄付をしてくれた国のリストに大国と言われる国名が並ぶ中アフガニスタンやセルビア、バングラデシュなど経済的に豊かではない国々の名前がある。日本円で一日の収入が二〇〇円くらいの国もある。それなのにその収入の半分にあたる金額を寄付してくれる人達が数多くいたそうだ。そんなことまでしてくれる理由は、どの国も同じだ。

 自分達の国が紛争や災害で困難の中にあった時、日本が助けてくれたからだ、と。

 日本は壊れた病院や学校や道路を再建するだけでなく、その国で今後も現地の人が困らないように、機械などのメンテナンスや清掃の仕方、維持していくためのノウハウを教え、現地に根付きちゃんと機能していけるようになるまでしっかり指導する。寄付はそんな日本の支援に対する恩返しなのだそうだ。

 人は一人では生きていけない、ということは言い尽くされてきた言葉だが、国もまた一国では生きていけない。

 「税金」という名のみんなの「思いやり」のキャッチボールは温かく尊い。このキャッチボールがこれからも続くように、私もわずかながらでも貢献していきたいと思う。

平成30年12月3日号

平成30年12月3日号