私は幼い頃から体が弱く、小学校の中学年までは週一度の通院が欠かせなかった。医師の診察を受けたり、薬を処方して貰ったりすると、多くの医療費がかかってしまい、家計には痛手である。

 しかし、私の住む玉名市には「子ども医療費助成制度」があり、玉名市に住民登録していて、健康保険に加入している中学卒業までの子どもの医療費を市が全額負担してくれる。この制度があるおかげで、多くの子どもたちは治療に専念できるのである。

 私も今までお世話になってきたが、こんな制度があると知る前は苦い粉薬を飲み残してしまったり、塗り薬を塗り忘れて大量に余らせてしまったりしていた。

 「子ども医療費助成制度」は税金で賄われているため、私たちは無料で病院にかかることができる。そのことを知らなかった幼い私は、いわば税金を無駄にしてしまっていたのである。「子ども医療費助成制度」を初めて知った時、母が「苦くても薬はきちんと飲みなさい」と言うもうひとつの理由が分かった気がした。

 また、同じく税金が使われているもので、「救急車を有料化するかどうか」という問題が物議を醸している。こんな問題が出てきたきっかけは、命を救うために存在している救急車をタクシー代わりに使う人が居たり、搬送された人の症状の多くが入院を必要としない比較的軽度なものであるということだった。

 外国では救急車が有料である場合も珍しくないと聞くが、私は有料化に反対だ。本当に治療を必要としている人が、救急車が有料であることを理由に利用できず、命を落としてしまうことはあってはならないと思うからだ。

 今でこそ普遍的なものになっているが、病院に行けて、薬を貰えるということは非常にありがたいことだ。同じように、皆から集められた税金が、私たちの健康のために使われていることも、ありがたいことだと思う。

 消費税が引き上げられる度に嘆く私たちだが、その一方で税金の存在に甘えてはいないだろうか。他の人たちが汗水垂らして働いて得た給金から、税金は払われているのである。そんな大切な税金を、無駄にしたり軽んじたりしてはならない。

 昨今は年金制度の崩壊も危惧されている。少子高齢化に伴い、高齢者ひとりに対する働き手も減っているためである。納税者がこのまま減り続けてしまえば、私たちが今当たり前に受けている福祉制度は利用できなくなるかもしれない。

 私たちは税金を通して、社会の中で見えない誰かを支え、また支えられている。納税することの意味と、税金のあり方を、今一度考えてみる必要があると思う。それが現在抱えている年金問題をジンテーゼすることに繋がり、ひいては日本の未来のためにもなると私は考える。

平成29年12月4日号

平成29年12月4日号