私には二歳上の姉がいる。その姉は、中学校入学を機に剣道部に入った。小学校時代はブラスバンド部に所属し、運動とは無縁だった姉の挑戦に当時の私は驚かされた。毎日汗だくになって帰ってくる姉。時には腕に大きなあざを作ってきた時もあった。姉の挑戦に驚かされたのは、姉が脊柱側湾症という骨の病を抱えていたことも大きい。脊柱側湾症とは、体を支える脊柱が湾曲する病だ。剣道は竹刀を振るだけでなく、相手と体をぶつけることもある。姉にとって、不安定な上体を支えながら稽古をすることには、たくさんの苦しさがあったはずだ。しかし、家での姉は、そんな苦しさを口に出さなかった。いつも笑顔で優しい姉。挑戦を続ける姉は、いつしか私のあこがれの存在に変わっていった。

 今年の春、私も姉の後を追い、剣道部に入部した。練習は、想像以上に厳しいものだった。私は姉と四ヵ月間練習を共にした。家での優しい姉の姿とは違う、真剣でひたむきな姿。私の知らなかった姉の姿を見て、益々姉の偉大さに気づいた。七月の全県総体、姉の集大成の試合を見た。試合が終わり涙を流す姉を見て、私の胸は熱くなった。

 姉は、この夏、脊柱湾症の手術をした。この時期に手術をした理由は、部活動の仲間に迷惑をかけないように、引退まで先延ばしにしてきたからだ。手術は、長時間かかった。そこから二週間の入院生活。家に帰ってきた姉は、曲がっていた骨がまっすぐになり、二センチ身長が伸びていた。帰ってきた姉の懐かしい明るい笑顔に、私は安心した。

 ところで、この姉の大手術と入院には多額のお金が必要だったはずだ。しかし、実際に我が家での負担は、ほとんどなく、姉の手術費や入院費は、国が負担してくれているそうだ。こうした社会保障が可能なのは、税金のおかげだと父が教えてくれた。父の話を聞いて、私は小学校で税金について学んだことを思い出した。税金は、私たちの暮らしの安全や、平等に教育を受けるために使われているということだった。私は、今回の姉の手術費などのお金は、一体どの税が使われているのかと興味をもち、改めて調べてみた。すると、私にとって身近な税である消費税が使われているということだった。年間の消費税の総額は、二一兆円。そこから高齢者の年金、医療介護や子育てを支援するために分配される。二一兆円という金額は、想像もつかないほど膨大な額だが、それだけたくさんの税金が、多くの人たちを笑顔にしているということを姉の手術を通して、実感することができた。

 税を納めるということは、自分や、自分にとって大切な人、そして出会ったことのない誰かや、その誰かの大切な人を守る素敵なシステムだと思う。税を通しての幸せの共有。つながりの中から生まれるたくさんの幸せ。この幸せに感謝しながら、姉のように挑戦し続ける一日一日を過ごしていきたい。

平成29年12月4日号

平成29年12月4日号