私は、小学校5年生の時、府議会や府政への理解を深めるために京都府が開催している「京都府子ども議会」に参加した経験がある。府内から集まった小学生がそれぞれの班ごとに話し合いを重ね、意見をまとめて施策案を議会で発表するというものだ。発表当日は京都府議会の本会場が使われ、京都府知事である山田啓二さんの目の前で案を発表するという、本格的な雰囲気の下で行われた。社会を機能させるためにルールをつくり、予算を決定するという府議会の仕事を模擬体験できる貴重な経験であった。

 子ども議員は府内から広く選ばれたので、私のような京都市内に住んでいる生徒もいれば、舞鶴市や京丹後市から来ている小学生もおり、意見はさまざまであった。市内は観光客で溢れているのに、府北部の生徒たちは、「過疎や観光客離れが進んでいるので、丹後ちりめんなど地域産業のPRをもっとしてほしい。」という意見を訴えていた。同じ京都府内といっても抱える問題はさまざまであり、皆が納得できるルールをつくり、それにかかる予算を決めて、大切な税金を使うということの難しさを感じた。

 すべての国民が、自分たちの生活をより良いものにするために税金を払い、私たちの代表者である議員が税金の使い道を決める、一見当たり前のようで、誰もが納得できることのように思えるが、私が子ども議会で体験したように、本人が困っていると感じていない事でも、他方では困っている人がいて、社会的な必要性がある場合には税金を使わなければいけないことがあり、それを納得できない人が少なくないというのも理解ができる。

 子ども議会では何日もかけて話し合いが行われたので、自分が税金の使い道として必要性が理解できない意見が出された時も、何度も話し合ううちにその人たちの切実さがわかり、問題を共有できるようになった。新聞やニュースを見ていても法案や予算で折り合いがつかず問題が解決しなかったり、解決が遅れたりすることがある。私もはじめは丹後ちりめんのことさえもよく知らなかったのに、「不況で着物が売れなくなり、生産者は生活が成り立たず、自殺に追い込まれた人もいる。」と聞き、胸が痛んだ。

 私たちの大切な税金を有効に使うために一番大切なことは、他者と思いやる気持ちであり、それは人が生きていくために一番大切な気持ちのはずだ。中学生である私が現在税金を払っているのは買い物をしたときの消費税ぐらいであるが、大人になり社会人として働き始めたら、自分の収入に併って税金を納め、その税金の使い道を決める議員を選ぶ選挙に参加することになる。「他者を思いやる気持ち」を忘れず政策を考えられる議員を選べる社会人になるとともに、自分には関係のないと思われるような税金の使い道にも理解を深められる社会人になろうと思う。

平成29年12月4日号

平成29年12月4日号