特集「中学生の「税についての作文」

29年/文部科学大臣賞/税で恩返し/埼玉大学教育学部附属中学校3年/須賀ありさ

2017年12月04日 税のしるべ

 「なんて立派な空港なんだろう。」
私は目の前に広がる場所が本当に新興国のマレーシアにあるとは信じられなかった。クアラルンプール国際空港。日本による多額の円借款、日本人建築家による設計で、日本の建設会社によって造られたというマレーシアの玄関口だ。今や世界の良い空港ランキングベストテンに評価され、私に日本よりも進んだ国に降りたかのような錯覚さえ起こさせた。

 昨夏、私は国際協力機構の研修でマレーシアに派遣された。この研修は次世代を担う中高生を国際協力とは何か、その重要性を伝えるメッセンジャーにするための事業だ。私は現地で学校やゴミ処理施設など様々な場所を訪れた。中でも一番驚いたのはマレーシア日本国際工科院という大学だった。二〇〇一年十一月、ASEAN+三首脳会談による政府間協定を基にあるプロジェクトが始まった。それは、日本の勤労文化というハイテクを学べというルック・イースト政策の集大成として、それまで日本に留学していた学生を留学させずに同様のことをマレーシア国内で実践するというものだった。その取り組みにも日本は多くの資金協力をしていたのだ。私が支払った消費税、父が納めた所得税、私達日本国民が納めた大切な税金が、どうして海を越えて異国の空港建設や学生を育成するために使われているのか大きな疑問がわいた。

 そこで、私は日本が多額の援助をしている理由を調べてみた。世界には二百六の国と地域があるが、先進国はその中の二十三カ国だけだ。もし地球に暮らす人が百人だとしたら開発途上国に暮らす人は八十二人もいることになる。それらの人々が暮らす国は衛生事情の悪化による感染症の蔓延や環境汚染、貧困や紛争といった様々な問題を抱えている。こうした問題は世界規模に発展する可能性があり、日本も援助をしていかなければ影響を受けてしまうのだ。事実、日本は生活や産業に欠かせないエネルギーは八割、食料も穀物や肉類、果実など多くを海外からの輸入に頼っている。グローバル化が進んだ今日において世界各国は相互に依存しているのだ。

 また、日本は戦後復興するにあたり国際社会から支援を受けてきた。日本の経済基盤は世界銀行からの支援でつくられたものだ。現在の日本の繁栄は国際社会の支援がなければありえなかったといえる。したがって、先進国となった日本がこれまで受けてきた恩を税金を使って開発途上国を支援して返していくことは、とても大切な役割の一つなのだった。

 海外研修に際し、すべての費用を国の税金で行かせていただいた。そのおかげで、貴重な経験を重ね、国際協力に通じる新たな税金の使われ方を見て学べたことを私は心からありがたく感謝している。今、世界に目標として掲げられている持続可能な社会の実現のためにも、将来きちんと納税できる大人になりたいと強く思っている。

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