最後に、個人が法人に株式を譲渡する場合の留意事項を2点紹介します。
 第1点目は、同族会社に対しての譲渡の場合です。株式等の資産を時価の2分の1以上の対価で譲渡した場合には、所法第59条第1項第2号の規定による「みなし譲渡」の適用はありません。しかし、その譲渡が所法第157条≪同族会社の行為又は計算の否認≫の規定に該当する場合、すなわち法法第2条10号に規定する同族会社及びこれに準ずる会社の行為又は計算で、これを容認した場合においては、その株主等である株主等の所得税の負担を不当に減少させる結果となると認められるものがあるときは、たとえ時価の2分の1以上の対価による法人に対する譲渡であっても、税務署長の認めるところによって、その資産の時価に相当する金額により譲渡所得等の金額を計算することができるとされています。
 第2点目は、「みなし配当」の問題です。株式発行法人が、自己の発行する株式を取得した場合には、「自己株式の取得」となり、所法第25条≪配当等とみなす金額≫第1項第四号の規定により、株式又は出資に対応する部分の金額を超える部分が「みなし配当」の対象となります。


【所基通59-3≪同族会社に対する低額譲渡≫】

 山林(事業所得の基因となるものを除く。)又は譲渡所得の基因となる資産を法人に対し時価の2分の1以上の対価で譲渡した場合には、法第59条第1項第2号の規定の適用はないが、時価の2分の1以上の対価による法人に対する譲渡であっても、その譲渡が法第157条≪同族会社等の行為又は計算の否認≫の規定に該当する場合には、同条の規定により、税務署長の認めるところによって、当該資産の時価に相当する金額により山林所得の金額、譲渡所得の金額又は雑所得の金額を計算することができる。


【措置法37条の10≪株式等に係る譲渡所得等の課税の特例≫】

 居住者又は国内に恒久的施設を有する非居住者が交付を受ける次の各号に掲げる金額(所法25条第1項の規定に該当する部分の金額を除く。)...は、株式等に係る譲渡所得等に係る収入金額とみなして、同法...の規定を適用する。
 四 法人の株主等がその法人の自己の株式又は出資の取得(※省略)により交付を受ける金銭の額及び金銭以外の資産の価額の合計額
 ※ 措置法通達37の10-27≪法人が自己の株式又は出資を個人から取得する場合の所得税法第59条の適用≫(2)


【所報25条1項≪配当等とみなす金額≫】

 法人(※省略)の株主等が当該法人の次に掲げる事由により金銭その他の他の資産の交付を受けた場合において、その金銭の額及び金銭以外の資産の価額(※省略)の合計額が当該法人の同条第16条に規定する資本金当の額...を超えるときは、...その超える部分の金額に係る金銭その他の資産は、前条第1項に規定する剰余金の配当、利益の配当、剰余金の分配又は金銭の分配とみなす。
 四 当該法人の自己の株式又は出資の取得

平成29年7月31日号

平成29年7月31日号