父も母も仕事をしている。私は一歳の時から保育所に入り、働く両親に代わって保育所の先生に育ててもらった。

 時々テレビで「子どもが小さいうちは、母親が育てるべきだ。」というコメントを聞くことがある。私は昼間はほとんど保育所の先生に育ててもらい、平日は、遅く帰ってくる父とはほとんど会うことができなかった。また、母が保育所に迎えに来てから寝るまで、せいぜい三時間程度しか同じ時間を過ごすことはなかった。テレビのコメントが真実だったら、私は小さい頃から母と過ごせない可哀想な子どもなのだろうか。私は一人っ子なので、いつも賑やかな保育所で友達と過ごす時間が大好きだった。物心がついた時から母は働いていたので、それが当たり前のことである。だから自分がテレビで可哀想と言われるような子供だった、とは思っていない。

 母は、いつもこう言っている。

「働くことは日本に住む人の義務。税金を納めることも義務。働くことができない特別な事情が無い限りは、働かないと。これまで自分より年上の人が苦労して 納められた税金で教育を受けさせてもらったのだから、同じようにお母さんが働いて、次世代の教育を守っていかないと。あなたも大きくなったら、当たり前に働き、納税する人間になりなさい。働くことは恩返しであり、自分の子どもだけではなく、日本で暮らす未来の大人たちへのプレゼントでもあるんだよ。」

 こんな立派なことを言いながらも、「正直たまには仕事を辞めて、のんびりしたくなる日もあるんだけどね。」と笑いながら話す母は素敵だと思う。

 私は今、中学三年生だ。私はこれまでみんなの税金にどれだけ育ててもらったのか考えてみた。

 生まれる前 母子手帳、パパママ学級

 生まれてから 予防接種、健康診断、熱が出た時に行った病院代

 保育所に入ってから 保育所の建物、給食、おやつ、先生の給料、遊具、工作の材料など数えきれないほどある。

 小学生 校舎、体育館、教科書、安全な通学路、先生の給料、プールの水、遊具、大好きだったウコッケイのエサなど、たくさんある。

 中学生 教科書、安全な通学路

 自分が想像しただけでも、私が大きくなるまでに誰かが納めてくれた税金に支えられてきたことがわかる。その税金のおかげで、私は勉強し、友達と楽しく過ごし、安心して生活することができている。

 これから私は、だんだん大人に近づいていく。選挙権が与えられるのが十八歳になったので、あと四年で大人の仲間入りだ。まだ将来やりたいことは、漠然としているが、これだけははっきりと言える。

 将来の夢 働き、税金を納める人になる。

平成28年12月19日号

平成28年12月19日号