今から三年前、日本を襲った台風十八号。特別警報が初めて発表され、マスコミにも大きく取り上げられた一方で、六人の方が亡くなられるなど多くの被害に見舞われた。当時私の曽祖母は、京都府綾部市にある古屋集落に暮らしていた。鳴り響く轟音と、流れ込む大量の土砂や倒木。押し寄せる台風は、過疎化の進んだ小さな集落を飲み込み、曽祖母の家を容赦なく襲った。後の復旧作業で家は元に戻ったものの、曽祖母は都会への避難を余儀なくされた。

 ここ数年、大規模な台風や集中豪雨による被害が後を絶たない。地球温暖化やヒートアイランド現象が原因ともいわれている。そんな中、大阪府と京都府が「森林環境税」を四月から導入しているということを耳にした。府民税に加算されるこの税は、土石流発生時の倒木・流木対策にあてられるという。さらに、根本的な森林の荒廃を防ぎ、次世代に健全な森林を残すため、基盤づくりや人材育成にも使われる。それはまさに、古屋集落が経験したような大規模な土砂災害から、人々の暮らしを守る仕組みづくりといえるだろう。

 税金というと、社会保障や公共サービスに使われているイメージが強く、森林や環境のための税という考えには、驚きすら感じた。しかし、世界全体でみると地球環境を支える税は決して珍しくないという。例えば、フィンランドやオランダをはじめとするヨーロッパ諸国では、二酸化炭素などの排出量に応じて、家庭や企業から徴収する「炭素税」が一般的になっている。また、アイルランドではレジ袋の使用量を削減するために、「レジ袋税」が導入されている。日本でも、「森林環境税」は多くの都道府県で取り入れられており、環境保護を意識した税の仕組みづくりが進みつつあると感じた。

 世界各地で頻発する環境破壊と、危機感を増す地球温暖化。その影響や被害は極めて深刻であり、もはや見過ごすことはできない。こうした問題と向き合い、対策していくための手段の一つに税金があるのではないだろうか。一人の力で地球の未来を変えることはできない。だからこそ一人一人が、地球に生きる人間として「税金」という会費を納め、皆で地球を救う取り組みが求められているのではないだろうか。

 地球環境を支える税は、今すぐその成果が実感できるものではない。しかし、私たちが大人になった時、あるいはさらにその先の世代まで、人々の安心な暮らしと豊かな自然環境を守る財源となるだろう。地球の未来を支える上で、税金が大切な役割を担っているのだと心に留めておくことが、今の私にできる小さな一歩なのかもしれない。やがて大人になった時、税金を通して私たちの未来に貢献したいと思う。地球に生きる一人の住民として、胸を張ってその役割を果たしたいと思う。

平成28年12月19日号

平成28年12月19日号