「無料だから、ちょっと行ってくる。」「無料だから、行ってきた方がいいよね。」「無料だから、多めにもらってきたよ。」「あと半年だけ無料だから、今のうちに、治せるところは治しておかないとね。」

 中学三年生になった今、このような会話をよく耳にするようになった。これは、病院を受診する際の会話である。「無料だから」というのは、「子ども医療費助成制度」を利用して、病院で受診した場合のことを言っているのである。

 私の住んでいる市では、子育て支援の一環として子ども医療費助成制度がある。これはこの市に居住する健康保険加入者で義務教育終了までの子ならば、入院・通院ともに保険診療分の自己負担額を全額助成してくれる制度である。皆が平等に、お金のことを気にすることなく、安心して病院で受診できるこの制度は、とても助かる。どうして、無料で受診できるのかというと、この制度が税金によって支えられているからである。しかしこの制度は、平成二十八年四月受診分から適応されるようになったもので、以前は、自己負担額の三分の二を助成してくれるものであり、中学二年生までは、通院だと自己負担があった。無料になったから、冒頭のような会話が増えたのだろうか。

 無料だから、受診が必要とはいえない軽い症状でも、とりあえず病院に行ってはいないだろうか。無料だから、必要以上の薬を処方してもらっていないだろうか。無料だから、今ではなくてもよい治療をしてはいないだろうか。税負担が心配になった。調べてみると、実際に、医療費の自己負担が減った場合、医療機関にかかる人が、増えていた。これでは税による恩恵を、税のさらなる負担へと導いてしまう。

 先日、部活動で捻挫をしてしまった。診察のうえ、レントゲンも撮ってもらい、サポーターの指導も受け、薬も処方してもらった。すべてが無料だったが、気になったため、医療費明細書で、実際にかかった金額を母に説明してもらった。中学生の私でも、税金を使っている実感がわいた。

 「無料」それは、決して0円なのではない。私たちのために、築き上げられた、多額の税金の支えによるものなのだ。そして今年は、さらに多くの税金を、子ども医療にあてていただいたのだ。そのことを利用する私たちも、しっかりと心にとめておくべきだと感じている。

 私たち中学生はさまざまな場面で、このような税金の支えによる「無料」に遭遇している。その時は、「無料だから」こそ、税金のありがたさを実感し、正しく、大切に使い、決して無駄使いのないようにしたい。

平成28年12月19日号

平成28年12月19日号