私の兄は、四月から地元の市役所に勤務している地方公務員である。初登庁の前日、父は兄に「皆の税金で給料をもらうのだから、しっかり頑張れ」と発破を掛けていたが、私はその言葉を特に気にすることもなく聞いていた。これまで税金のことなど考えたこともなかった私が三年生になって社会で税のことを学習し、また、この作文を書くにあたって改めてその種類や仕組みについて調べてみると、父が兄に言った言葉の重みが少し分かってきた。
 父は建築士で事務所を営んでいるので、法人税、所得税、印紙税、登録免許税、消費税などたくさんの税金を払っている。もちろん税金を払うことは国民の義務で父だけでなく全ての国民が払う訳なのだが、だからこそ、納税者が一生懸命働いた給料の中からだす税金を本当に必要なことに使ってほしいと願うことはもっとものことだろう。
 七月十二日の未明、熊本では一時間に百ミリリットルをこえる大雨が降った。映像で見る白川は、危険水位を超え音を立てて濁流が流れている。河川は一部氾濫し、町は水に浸ってしまっていた。それだけでなく、阿蘇地方では土砂が民家を襲い、その下では亡くなられた方も多くいらっしゃった。すぐにたくさんの消防隊員、警察官、自衛官などの方々が夏の暑い中復興作業や行方不明の捜索に従事されているのをみると頭が下がる。兄も、その後市役所の職員として、片付け作業に向かった。「あまりのひどさにびっくりした」と帰ってきた兄の手には、大きなマメができ爪には泥がつまって真っ黒だったが、早く前の生活にもどることを願い作業をしてきた兄の姿は頼もしい。多くの公務員の方々が命がけで仕事をしてくれているのだ。これから、多くの税金が水害で壊れた道路、河川の復興などに使われることになるだろう。人々の命と安全な暮らしを守るため、税金を使うことに誰も文句は言わないと思う。
 しかし、一方で、国民の財産である税金を着服したり、その使い道に無駄や不公平があったりする報道をきくとたまらない。税金はきちんと納めるだけでなく、正しく公平に使うものである。
 納税者は自分たちが納めている税金についてもっと知識を深め、気持ちよく納めることができるようになり、使う側は国民が快適に暮らせるような税金の使い方をしなければならない。こうして、お互いに税の重みを認め信頼しあう関係が築ければ、いろいろな問題を抱える日本の未来に明るい光が見えてくると思う。
 少子高齢化の問題もあり、消費税も五パーセントから八パーセント、十パーセントに重たくなるという。私も共に助け合い、皆が心豊かにすごすことができるよう、これから私達若者も折りふれ、税について考えていかなければならないと思う。

平成24年12月17日号

平成24年12月17日号